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川柳の趣味/ストレスを笑い飛ばす

  サラリーマン川柳から大衆化し、多様なジャンルが…    囲碁川柳と将棋川柳
  川柳の本質はおかしみ=笑い? 「うがち」と「軽み」について

鑑賞するだけでも面白い、元気が出る川柳


 私(管理人)が生まれて初めて知った川柳は次の句です。

 居候 三杯目には そっと出し

 子供の頃、食事中に母から教わったものですが、当時はそれが川柳というものだとはまだ知りませんでした。多くの日本人が少ないおかずと味噌汁でご飯を食べていた時代のことです。今では「居候」という存在自体が見かけなくなった上に、飽食の時代。若い世代の方には面白さがわからないかもしれませんね。

 もう一つ有名な句です。

 本降りに なって出て行く 雨宿り

 これはわかりやすく、思わずニヤリとするでしょう。しかし、誰でもケータイを持っている時代にはめったに見かけない光景となり、面白さも半減です。俳句と異なり、川柳は時代や社会が変わるとその妙がわかりづらくなってきます。

 川柳は江戸時代に生まれ発展したものですが、当時の作品(古川柳)には江戸の文化や習慣など、民俗学的な教養がないとまったく理解できない句が多くなっています。川柳よりも俳句のほうが高尚でレベルが高い文芸だと思われがちですが、とんでもない! 鑑賞には幅広い教養がいる上に、作品を作るには人間や社会に対する観察眼や批判精神と、それらを包み込む包容力が求められるのです。

 …と、川柳を持ち上げたところで、古川柳の中から艶っぽいヤツを一つ紹介しましょう。

 門口で 医者と親子が 待っている

 う~む、これは難しい。私も最初はこれが「艶笑川柳」だとわかっているのに、何のことか皆目見当がつきませんでした。これをネットで解説するのは、理解するよりももっと難しく、蛮勇の要ることです。

サラリーマン川柳から大衆化し、多様なジャンルが…


 川柳は昭和の一時期に衰退しかけましたが、サラリーマン川柳(サラ川/第一生命企画のコンクール)の大ヒットによって、誰でも気軽に楽しめる文芸として復活しました。

 「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」といいますが、題材が身近なだけに作りやすく、誰でも一つや二つは傑作ができそうなところが受けたのかもしれません。何しろ五七五の短い言葉ですから、形容詞も接続詞も、しゃれた言い回しも不要。自分が日頃感じていることを、最低限の言葉で表現しようとすれば、五七五の句に納まってしまいます。日本語の不思議なところですね。

 サラリーマン川柳が定着すると、さらにテーマを細分化したり、他のジャンルに飛び火したりして次のように様々なテーマの川柳が生まれました。

  定年川柳、シルバー川柳、夫婦川柳、男女の川柳、オタク川柳、マネー川柳
  トイレ川柳、キッチン川柳、妖怪川柳、大阪弁川柳、ストレス川柳、毛髪川柳
  バレンタイン川柳、旅行川柳……


 もともと川柳は季語なども必要なく、テーマは自由でしたから、これからも新しいジャンルは次々と生まれるでしょう。本来は文芸とは無関係の企業が募集する川柳コンテストが増えており、作品の応募先は選りどりみどりです。

 知的な言葉遊びで脳を鍛えながら、もやもやとしたストレスを笑い飛ばす。その上、様々な川柳コンテストに応募して入選したら一石二鳥どころか三鳥になります。皆さんもぜひ始めてみてはいかがでしょうか。

囲碁川柳と将棋川柳


 昔から囲碁や将棋をめぐる人間模様を詠んだ川柳は盛んで、それぞれ一つのジャンルを形成していました。中には、囲碁・将棋ファンでなくても楽しめるものもあります。何よりも、碁・将棋は時代を超越しているところがいいですね。有名な句の中から、お気に入りのものを2つ掲げます。

 ヘボ将棋 王より飛車を かわいがり

 碁会所で 見てばかりいる 強い奴

 実際に、将棋の初心者は例外なく、飛車を逃げ回って自分の王様を危うくします。
 また碁会所では、この川柳のような「強い奴」を何度も見かけました。最近の碁会所は知りませんが…。

 ところで、上の2句を囲碁・将棋の世界とは別の世界に置き換えてみたら、どんな風景が見えるでしょうか? 「王より飛車をかわいがる人」は、仕事や政治の世界に目を移すと、よく見かけますね。本来の目的が別の何かにすり変わってしまっている方が…。

川柳の本質はおかしみ=笑い? 「うがち」と「軽み」について


 川柳の本質は、独特のおかしみを発見し、笑いを誘うことだと思っている方が多いかもしれません。でも、おかしみや笑いは結果であって、重要な要素としては「うがち」と「軽み」だと言われます。

 「軽み」はそれほど難しい概念ではなく、くどくどと説明せず、さらりと言ってのけることが川柳の態度だということです。力まず、欲張らず、という作法は、エッセイなどの文章にも通じるものです。

 わかりづらいのは「うがち」ではないでしょうか。よく、「うがったことを言う」などという言い方をしますが、意味は「穿つ」、つまり穴を開けることです。ちょっと気がつきにくいこと、見落としやすいことなどを的確に指摘し、白日の下にさらすことで、批評が急所をついているときに使われます。

 川柳独特のおかしみは、鋭さを秘めた「うがち」と、さりげない「軽み」のハーモニーが自然にかもし出すものと考えるとよいでしょう。「人を笑わせやろう」というような力みやこだわりからは、傑作川柳は生まれにくいものです。

      ◇      ◇      ◇

 まあ、そうした文芸評論的なことはさておいて、たくさんの入選作品を楽しく味わっているうちに、何となく川柳の「本質らしきもの」がわかってくると思います。そして、私にも作れそうだ……と、きっと思うはずです。

 いくつか川柳を作っているうちに、「大傑作だ!」と思う句が生まれるかもしれません。そんなときは作品を2、3日寝かしておいてから読み返してください。冷静になってみると、あまりのつまらなさにがっかりすることはよくあることです。本物になっていくのはそれからです。


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