いい趣味を見つけたい方へ―おすすめ
手芸・工芸・工作   スポーツ・アウトドア   美術・絵画   ダンス・体操・健康   棋道・ボードゲーム・カード   楽器演奏   美術鑑賞・音楽鑑賞
生け花・フラワーデザイン   文芸   書道・習字・文字のアート   生活・実用   パズル・クイズ   語学   コレクション   パフォーマンス・余興

写経/教養や心の安寧に

本来の写経と現代写経の違い


 写経は文字通りお経を書き写すことですが、本来は僧侶が寺院で修行や研究のために行ったり、一般民衆に仏法を広めるために勧めたりするもので、一字一句を心をこめて間違いなく書き写すことで、大願成就を祈ったり、亡き人の供養にしたりする意味もありました。しかし現代では、印刷技術の進歩によって、信仰とか供養の目的は薄れ、教養や心の安寧、書道の一環として写経が行われるようになりました。

 とはいえ、まったく宗教的な要素がないかといえば、やはり大多数の日本人が漠然と抱いている仏教的世界観が根底にあります。仏教では、日常の様々な悩みや迷いから脱却して心の安寧を得らるために、心を無にすることを教えられます。しかし、凡人が無我の境地になるなど、たやすくできることではありません。そこでお経を写し取ることで、無我の境地とまではいえないまでも、安らいだ気持ちを得ることができるというのが、現代の写経の一般的な形といえるでしょう。

 それとともに、分かっているようでわかっていない仏教の思想を、般若心経のような比較的親しまれているお経を勉強することで、より深く理解しようという面もあります。一字一句を書写しながらその意味をかみしめ、理論と実践の両面から理解する教養的な側面も写経の重要な役割です。

文字の巧拙よりも、心をこめて書写することが大事


般若心経 写経には書道的な側面もありますが、それとは別の文化的、教育的、宗教的な意味合いを重視することもできます。ですから、字が下手だからとか、筆字は苦手だといって尻込みをする理由はありません。大事なことは一字一字に心をこめて書くこと。字が上手いか下手かは問題ではありません。

 うまく書こうというような邪念を捨て、仏様の言葉をひたすらていねいに書くことによって、人をねたんだり、恨んだり、些細なことに思い悩んだり、悲しんだりする気持ちが減却され、心の平安が得られます。写経が「書く座禅」だと言われるのは、そうした効用があるからです。

 習字というものは、早く字がうまくなろうとするとしんどいものですが、写経を続けているうちにいつしか毛筆に慣れ、字がうまくなっていくということは十分にあり得ることです。それと共に集中力や忍耐力も付いていくことでしょう。

 また、写経を始める前はさほど興味のなかったお経に深い興味を持つようになるとか、書の作品の芸術性が味わえるようになるというように、当初の目的とは異なる様々な副産物がもたらされることも、写経の大きな魅力になっています。


  TOP  HOME